一足お先に!? 中央区日本橋人形町の黒天丼

深夜の食欲振興番組に誘われて

なんというか心よりお慕い申し上げていますというか。大衆食堂的ソロ飯礼賛な深夜帯のグルメ番組がいよいよ第二シーズン突入という事で、朝食を取る時間を惜しんで録画の視聴開始。お、この店はいいなぁ、そういえば気になっていたなぁ、あぁ、それにしてもお酒が飲みたい。そんな煩悩真っ盛りな様子でTVに没頭。気がつけばもうお昼前。

 

名調子の勢い衰えぬ番組の内容にすっかり満足して、ふと目に入る次回予告。

 

「中央区日本橋の黒天丼」

 

んんん!?これは覚えがあるぞ。むしろ常日頃お世話になっているお店というかなんというか。

居ても立ってもいられなくなり、あくせくと服を着替え、空きっ腹を抱えて家を出る。

やってきました店の前

平日の午前11時。さすがに人の並びもなく。店もまだ準備中みたいでぼえーっと待ちぼうけ。

それまでどうしようかなと待つうち、ご同輩と合流。

 

「焦るんじゃない、俺は腹が減っているだけなんだ」

 

─ただ開店まで待つのもなんだしね、と、ぶらぶらと人形町散策。

ぶらり街歩き。水天宮通りから甘酒横丁へ。

折しも今日は人形市。表通りを埋める屋台の人形をひやかしつつ、水天宮通りをまっすぐ登り、ついと右に折れて甘酒横丁へ。鳴りっぱなしの腹を少しでも埋めようと東京三大たい焼きとでもいうか「柳屋」でいっちょあんこまみれに…と思うもこちらも12時半からとのこと。「腹が減って死にそうなんだ…」 

 

「甘酒横丁といっても、専業の甘酒屋は一軒も無くなっちゃったんだけどね。」などと、なんの役にも立たなそうな埋め草うんちくを呟きつつ、眼に入るのは食べ物のことばかり。ふと見あげれば、店の暖簾までもが「うまい棒」に見える─

再び店の前。相まみえるか!?

再び本日の昼飯処目。11:30ちょっと前あたり。「準備中」の看板も外れ、白い暖簾には目に眩く「天ぷら」の文字、それでは、いざいざ。高鳴る胸と腹の虫。大人しくカウンターの隅に着く。

さぁ、カーニバルのはじまりだ─絶対、大盛りで食おう。

注文は迷うこと無く「天丼」で。欲を出してご飯は大盛り。手際の良いご主人の動きをじっと眺めつ、久しぶりの江戸前本格派、どんな味だったかなぁ、と思いを馳せる。

 

なんとはなしにカウンター越しに会話をするうちに、例の番組の話になる。

「予告をご覧になっていらしたので!?」「ええ、いよいよ来週放映だとか?」「そうなんですよ…」

あれやこれやと収録時のエピソードを聞かせていただきつつ、お出ましになられた本日昼の大本命「中央区日本橋人形町の黒天丼」。丼の蓋を力強く持ち上げる天ぷらの存在感、なんだか一層力強さを増したような─

はふ、はふ、うまい……

見まごうことなく黒天丼。照りと艶、少し苦味のある独特の甘さこそがピュア江戸前系の証。とっておきの海老をそっと横に寄せ、白米と黒だれのコントラストを楽しむ。「そう、そう、これこれ…」

 

天丼の基本構成は海老が2本、魚が2本。絶妙な歯ごたえでさくっと響き渡る衣の加減にご主人の腕の円熟味を感じつつ、海老をパクリ。続いて白味魚(鱚だろうか、メゴチだろうか…)をほくほくと。ご飯と交互にいったりきたり。

 

「どうだい、旨いだろ!?」と、ご主人、一同異論も無く声を揃えて「うまいです!」

 

大満足の昼ごはんなのでした。

人気のある番組だけに影響の大きさを少し心配されているご様子。とはいえ、数々の雑誌等紹介され、確かな腕で長年あってきたお店だけに、しっかりとこれからも期待に答えて美味しい天ぷらをいただけるお店であることは間違いないなぁ、と思いつつ。

 

「ご馳走様でした。また伺わせていただきます。」

 

すっと店を出て、気が付けば昼時のピーク。近隣の勤め人が天ぷら目当てに三々五々と。

番組の流れを知ってか、知らずしてか。

 

そろそろ熱燗の旨くなる季節。今度は夜にお任せでいくのもいいなぁ、とー。

天ぷら 中山

・東京都中央区日本橋人形町1-10-8

・11:00-13:00 17:30-21:00 (実際に開くのは11:30前頃?)

・03-3661-4538

・[休]土・日・祝

・日比谷線 人形町駅より徒歩5分

・半蔵門線 水天宮駅より徒歩4分


お知らせ

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